「アートとは何か?」
その問いに答えるのは難しいですが、アートを取り巻く現在の環境を考えてみると、
そこでまず目立つのは「お金」の動きかもしれません。欧米では、アートが作品として
かたちを成したのち、それが高額で売買される成熟した「市場」が成立しています。
なんだかそれが当然の成り行きであるようですが、そもそも「アート=お金」ではない
でしょう。アートの対価がお金以外の何か(something)に置き換えられたとしても、
その作品の輝きは失われないはずです。 むしろアートという、本来一定の基準など
を持ち得ないものが、アーティストとその作品を欲する誰かに、固有の交換条件の中
で取引をおこなうことが、欧米寄りの「アート観」をほぐしてくれるかもしれません。
いま日本で可能なのは、「お金」に寄らない「アート市場」であり、そこから派生する
アートの再解釈なのではないでしょうか。より多くの人々が、アートに興味をもち、愛
し、その気持ちを共有しようとすることによって、鑑賞者のみならず、アーティストにもよ
りよい環境がもたらされることになるでしょう。つまり、FREEとはアートへ貨幣価値の
破棄を求めるのではなく、アートに関わる人々また、関わらない人々に対しても既成
の枠組みから解放する意であって、アートに対峙する緊張感や高揚感はそのままに、
アーティストにとっても、アートに触れる全ての人にとっても、身近に感じてもらえる
ようなキーワードになる可能性をもっているでしょう。
しかし、貨幣価値からの解放を経ても尚、既に「市場」によって構築された価値観か
らは逃れられません。そこで、作品に対して素直な眼差しを向けるために、会場で展
示する作品に匿名性を付与していきます。「市場価格」も 「ネームバリュー」もない作
品が、来場者の「眼」によって判断されていきます。来場者はアーティストにその作品
の対価として、 一体何を呈示するのでしょうか?あるいはアーティストは、どういった
somethingを求めるのでしょうか?その独自の環境によって、作品の価値、ひいて
はアートそのものを現状から解放し、また、アートの新たな現場を構築していくことに
つながるのではないでしょうか。そうであってほしいと思います。
ART FAIR FREE 実行委員会